「四万十いやしの里」 テーマ 間の心

自然には間がある
自然とは人の力を加えられないものである。
春の陽を待てば、かげろうの向こうにゆらぐ野山。
野を渡る風を待つ間は、初夏のひととき。
かげった日差しを心待ちする間は、冬の昼下がり。
少しは遅かれと願う満月を待つ間は秋の夜長につながる。


全ての期待と興奮は、この少しの間をはさんで存在する。
雨を待つ間、晴れを待つ間は心と身を休め、やすらぎのうちに
次にめぐり来るもっと大きな安心と満足を約束する。


自然のゆらぎとうねりは、間と間をむすびつけ、
歴史や文化を再生し、厳しい気象を挑戦することなく受け入れ(パッシプ)、
それを豊かなみのり(ニューテクノロジー)として創出させる。
打ち捨てられたかの如き種々の素材は、情ある使い手により眠りから覚め、
その地の恵みと共に、新しい時代を誇らかに演出する。


間の心はまごごろにつながる。
心あるもてなしは喧騒と多忙で疲れた訪ね人達に
自然のなかに健やかに漂ういやしの安らぎをもたらし、
失ったかと思われた感性を再び取り戻させる。


視線は果てしなく景観をとらえ、天然の香りに浸され、
快い響きは耳に愉しく、豊かな幸に舌はおののき、
ふれる手触りが身体をはしる時、全てが心の琴線を鳴らす。

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